VBA技術解説
Excel VBAとは?マクロとの違いやメリット・デメリットを初心者向けに解説

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
公開日:2025-04-23 最終更新日:2025-04-24

Excel VBAとは?マクロとの違いやメリット・デメリットを初心者向けに解説


Excelを使っていると、「マクロ」や「VBA」という言葉を聞くことがあるかもしれません。
「作業を自動化できるらしいけど、何が違うの?」「難しそう…」と感じる方もいるでしょう。
ここでは、Excelの「マクロ」と「VBA」の違い、そしてVBAを使うことのメリット・デメリットを初心者の方にも分かりやすく解説します。


1. 「マクロ」とは? - 操作の記録・再生機能

まず、「マクロ」は、Excelで行う一連の操作を記録し、それを必要な時に再生(実行)する機能のことです。

例えるなら「操作の録音・再生」

あなたがExcelで行う操作(セルの選択、文字入力、コピー&ペースト、書式設定など)を、Excelが「録音」してくれます。
そして、ボタン一つで「録音」した操作をそっくりそのまま「再生」してくれるのです。

主な目的

毎回同じ手順で行う単純な繰り返し作業を自動化すること。

作り方

Excelには「マクロの記録」という機能があり、プログラミングの知識がなくても、普段のExcel操作を行うだけで簡単なマクロを作成できます。

「マクロの記録」で作れることの例

  • 表の決まった範囲に罫線を引いて色を付ける。
  • 特定のシートのデータをコピーして、別のシートの決まった場所に貼り付ける。
  • 印刷範囲を設定して印刷する。


2. 「VBA」とは? - マクロを作るためのプログラミング言語

次に、「VBA」は Visual Basic for Applications の略で、マクロを作成したり、より高度な自動化処理を作るためのプログラミング言語です。

例えるなら「操作を指示する言葉(言語)」

「マクロの記録」機能を使うと、Excelは裏側で自動的にVBAのコードを生成しています。つまり、マクロの実態はVBAのプログラムなのです。
VBAを自分で書いたり編集したりすることで、「マクロの記録」だけでは実現できない、もっと複雑で柔軟な自動化が可能になります。

主な目的

:条件分岐(もし〇〇なら××する)、繰り返し(〇〇が終わるまで繰り返す)、他のアプリケーション(Outlookなど)との連携など、高度な処理を実現すること。

作り方

VBE (Visual Basic Editor) という専用の編集画面を開き、VBAの文法に従ってコードを記述します。


3. マクロとVBAの主な違いまとめ


特徴 マクロ (主に「マクロの記録」を指す場合) VBA (Visual Basic for Applications)
役割 Excel操作の記録・再生機能 マクロを作成・編集するためのプログラミング言語
実態 VBAコードで記述されたプログラム プログラミング言語そのもの
作成方法 主に「マクロの記録」機能 VBEでコードを記述(記録機能もVBAを生成)
できること 記録可能な定型操作の自動化 条件分岐、繰り返し、他アプリ連携など高度な処理
難易度 比較的易しい(記録だけなら知識不要) 学習が必要(プログラミングの基礎知識)

簡単に言うと

マクロ: Excelの自動化機能の「総称」や「記録された操作」を指すことが多い。
VBA: そのマクロを動かしている「プログラミング言語」。VBAを学ぶことで、より強力なマクロが作れるようになる。


4. VBAを使うメリット

VBAを学習して活用することには、多くのメリットがあります。

作業時間の大幅な短縮

数分~数時間かかっていた定型作業を、ボタン一つ、数秒~数分で完了させることができます。
空いた時間を、より重要な分析や判断業務に充てられます。

ヒューマンエラーの削減

手作業によるコピーミス、入力漏れ、計算間違いなどを防ぎ、作業の正確性が向上します。

複雑な処理の自動化

「マクロの記録」では不可能な、条件に応じた処理の分岐(例:もしA列の値が10以上ならB列に"OK"と入力)や、特定の条件を満たすまでの繰り返し処理などが実現できます。

Excel機能の拡張

Excelに標準で備わっていない、独自のカスタム機能や関数を作成できます。

他アプリケーションとの連携

Outlookと連携してExcelデータに基づいたメールを自動送信したり、Word文書を自動作成したりできます。
プログラミングの基礎が学べる:
VBAは比較的習得しやすい言語であり、プログラミング的思考(論理立てて処理を考える力)を身につける良い入口になります。


5. VBAを使うデメリット・注意点

一方で、VBAを利用する際には注意すべき点もあります。

学習コストがかかる

プログラミング言語であるため、基本的な文法や考え方を学ぶ時間と努力が必要です。全くの初心者には、最初は少し難しく感じるかもしれません。

コードが複雑化しやすい(属人化リスク)

高度な処理を作れば作るほど、コードは長く複雑になりがちです。
作成者以外には理解や修正が難しい「属人化」したマクロにならないよう、分かりやすいコード記述やコメント付与が重要になります。

メンテナンスが必要

Excelのバージョンアップや、業務内容の変更に伴い、作成したVBAコードの修正が必要になる場合があります。

セキュリティリスク

マクロには悪意のあるコードが仕込まれる可能性もゼロではありません。
そのため、Excelにはマクロの実行を制限するセキュリティ機能があります。
信頼できない入手元のマクロ付きファイルを開く際は注意が必要です。
自分で作成・利用する分には、過度に心配する必要はありません。

実行環境の制限

基本的にデスクトップ版のExcelで動作します。
Excel Online(Web版)やモバイル版のExcelでは原則として動作しません。
(※代替としてOffice Scriptsという新しい仕組みがあります)


Excel VBAとは?マクロとの違いやメリット・デメリットのまとめ

  • マクロはExcelの操作を記録・再生する機能で、簡単な繰り返し作業の自動化に向いています。
  • VBAはそのマクロを記述するためのプログラミング言語であり、学習することでより高度で柔軟な自動化が可能になります。
  • VBAを使えば、作業効率の大幅アップやミスの削減が期待できますが、学習コストやメンテナンス、セキュリティには注意が必要です。

まずは「マクロの記録」機能から試してみて、「もっと複雑なことを自動化したい!」と感じたら、VBAの学習を始めてみるのがおすすめです。
VBAの基本を少し覚えるだけでも、Excelの活用範囲は大きく広がります。




同じテーマ「マクロVBA技術解説」の記事

スピルでVBAの何が変わったか
CharactersプロパティとCharactersオブジェクト
ユーザーに絶対に停止させたくない場合のVBA設定
印刷範囲の設定・印刷範囲のクリア
VBAの省略可能な記述について
VBAのVariant型について
VBAのインデントについて
VBAの演算子まとめ(演算子の優先順位)
列幅不足による###表示や指数表示を判定する
VBA10大躓きポイント(初心者が躓きやすいポイント)
Excel VBAとは?マクロとの違いやメリット・デメリットを初心者向けに解説


新着記事NEW ・・・新着記事一覧を見る

第5章:AI×VBAでつまづかない!トラブルシューティングとAIとの付き合い方 |生成AI活用研究(2025-05-20)
第4章:【事例で学ぶ】AIとVBAでExcel作業を劇的に効率化する! |生成AI活用研究(2025-05-20)
第3章:AIを「自分だけのVBA先生」にする!質問・相談の超実践テクニック|生成AI活用研究(2025-05-19)
第2章 VBAって怖くない!Excelを「言葉で動かす」(超入門)|生成AI活用研究(2025-05-18)
第1章:AIって一体何?あなたのExcel作業をどう変える?(AI超基本)|生成AI活用研究(2025-05-18)
AI時代のExcel革命:AI×VBAで“書かない自動化”超入門|生成AI活用研究(2025-05-17)
Geminiと100本ノック 23本目:シート構成の一致確認|生成AI活用研究(5月16日)
AIが問う出版の未来は淘汰か進化か:AIと書籍の共存の道とは|生成AI活用研究(2025-05-16)
Geminiと100本ノック 22本目:FizzBuzz発展問題|生成AI活用研究(5月15日)
すぐに使える!生成AI プロンプト作成 実践ガイド|生成AI活用研究(2025-05-15)


アクセスランキング ・・・ ランキング一覧を見る

1.最終行の取得(End,Rows.Count)|VBA入門
2.繰り返し処理(For Next)|VBA入門
3.変数宣言のDimとデータ型|VBA入門
4.セルのコピー&値の貼り付け(PasteSpecial)|VBA入門
5.ひらがな⇔カタカナの変換|エクセル基本操作
6.RangeとCellsの使い方|VBA入門
7.メッセージボックス(MsgBox関数)|VBA入門
8.セルのクリア(Clear,ClearContents)|VBA入門
9.FILTER関数(範囲をフィルター処理)|エクセル入門
10.条件分岐(Select Case)|VBA入門




このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。


記述には細心の注意をしたつもりですが、
間違いやご指摘がありましたら、「お問い合わせ」からお知らせいただけると幸いです。
掲載のVBAコードは動作を保証するものではなく、あくまでVBA学習のサンプルとして掲載しています。
掲載のVBAコードは自己責任でご使用ください。万一データ破損等の損害が発生しても責任は負いません。



このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。
本文下部へ