VBA技術解説
入力規則への貼り付けを禁止する

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
公開日:2020-09-16 最終更新日:2020-09-17

入力規則への貼り付けを禁止する


ツイッターで以下の発言をしたのをきっかけに作成したマクロVBAです。

入力規則は便利なんだけどさ、値貼り付け出来ちゃダメでしょ!

では、問題です。
シートに入力規則のリストを設定しました。
VBAでそのデータを使ったら規則外のデータが入っていてエラーが出てしまいました。
そこでセルのデータをチェックすることになりました。
どんなVBAを書きますか?

私ならVBAの前に使用者にエクセルの使い方を指導します。
とは言っても間違った入力は完全には無くならないので、
Range.Validation.Valueでチェックします。

せっかくなので、ちょっと書いてみました。
こんな感じなら出来ないことは無いけど、実用としては微妙な感じだと思います。

VBA マクロ 入力規則 貼り付け 禁止


入力規則への貼り付けを禁止するVBA

ブックモジュール(ThisWorkbook)



Option Explicit

Private pWsName As String
Private pValiCnt As String

Private Sub Workbook_SheetSelectionChange(ByVal Sh As Object, ByVal Target As Range)
  '最初の1回だけ、頻繁に動くと邪魔になる可能性もあるので
  If pWsName <> Sh.Name Then
    On Error Resume Next
    pWsName = Sh.Name
    pValiCnt = ""
    pValiCnt = Cells.SpecialCells(xlCellTypeAllValidation).Address
  End If
End Sub

Private Sub Workbook_SheetChange(ByVal Sh As Object, ByVal Target As Range)
  'イベント抑止
  Application.EnableEvents = False
  On Error Resume Next

  Dim rngVali As Range
  Set rngVali = Sh.Cells.SpecialCells(xlCellTypeAllValidation)

  '事前に保存してある入力規則数とチェック
  If rngVali.Address <> pValiCnt Then
    MsgBox "貼り付けしちゃダメ!"
    Application.Undo
    Application.EnableEvents = True
    Exit Sub
  End If

  'もともと入力規則がない場合
  '元々はあって0になった場合は上でエラー判定される。
  If Err.Number <> 0 Then
    Application.EnableEvents = True
    Exit Sub
  End If

  '今回変更されたセル範囲の中で入力規則があるセルのみ
  Set rngVali = Intersect(Target, rngVali)
  If Err.Number <> 0 Or rngVali Is Nothing Then
    Application.EnableEvents = True
    Exit Sub
  End If

  '入力規則に反した値があるかをチェック
  Dim rng As Range
  For Each rng In rngVali
    If Not rng.Validation.Value Then
      MsgBox "違う値貼り付けダメ!"
      Application.Undo
      Application.EnableEvents = True
      Exit Sub
    End If
  Next

  'イベント再開
  Application.EnableEvents = True
End Sub

SelectionChangeイベントで、最初に1回だけ入力規則が設定されているセルのアドレスを保存しておきます。
(アドレスではなく、.Countで件数を入れても良いと思います。)
Changeイベントで、入力規則が設定されているセルのアドレスが変更されていないかを確認します。
さらに、Validation.Valueで入力規則に反する値が入れられていないかを確認しています。

入力規則が消されたり、規則外の値が入れられていた場合は、
メッセージボックスを出したうえで、Application.Undoで元に戻しています。
Application.Undoは、ユーザーが最後に実行した操作を取り消します。

※入力規則のセルを他の入力規則のセルに貼り付けた場合は禁止されません。


このようなイベントは実運用では危険が伴います。
予測外の動作が起こることも考えておく必要があると思います。

きちんとシート保護さえしておけば、入力規則が消えることはありませんので、
このようなイベントを入れることを考えるよりシート保護をした上で、
入力規則に反する値があるかどうかだけVBAでチェックするくらいが良いでしょう。
これらについては以下を参照してください。
入力規則(Validation)|VBA入門
・Validationオブジェクト ・入力規則(Validation)の使用例 ・入力規則を設定しても無効データが入力されてしまう場合への対処
入力規則のリスト入力の妥当性判定
・入力規則に反するデータかの判定Function ・入力規則のリスト入力の妥当性を判定Function ・最後に




同じテーマ「マクロVBA技術解説」の記事

LSetとユーザー定義型のコピー(100桁の足し算)
省略可能なVariant引数の参照不可をラップ関数で利用
ブックのいろいろな開き方(GetObject,参照設定,アドイン)
入力規則への貼り付けを禁止する
Select Caseでの短絡評価(ショートサーキット)の使い方
RangeオブジェクトのFor EachとAreasについて
画像が行列削除についてこない場合の対処
新関数SORTBYをVBAで利用するラップ関数を作成
LAMBDA以降の新関数はVBAで使えるか
数字(1~50)を丸付き数字に変換するVBA
文字列のプロパティ名でオブジェクトを操作する方法


新着記事NEW ・・・新着記事一覧を見る

第5章:AI×VBAでつまづかない!トラブルシューティングとAIとの付き合い方 |生成AI活用研究(2025-05-20)
第4章:【事例で学ぶ】AIとVBAでExcel作業を劇的に効率化する! |生成AI活用研究(2025-05-20)
第3章:AIを「自分だけのVBA先生」にする!質問・相談の超実践テクニック|生成AI活用研究(2025-05-19)
第2章 VBAって怖くない!Excelを「言葉で動かす」(超入門)|生成AI活用研究(2025-05-18)
第1章:AIって一体何?あなたのExcel作業をどう変える?(AI超基本)|生成AI活用研究(2025-05-18)
AI時代のExcel革命:AI×VBAで“書かない自動化”超入門|生成AI活用研究(2025-05-17)
Geminiと100本ノック 23本目:シート構成の一致確認|生成AI活用研究(5月16日)
AIが問う出版の未来は淘汰か進化か:AIと書籍の共存の道とは|生成AI活用研究(2025-05-16)
Geminiと100本ノック 22本目:FizzBuzz発展問題|生成AI活用研究(5月15日)
すぐに使える!生成AI プロンプト作成 実践ガイド|生成AI活用研究(2025-05-15)


アクセスランキング ・・・ ランキング一覧を見る

1.最終行の取得(End,Rows.Count)|VBA入門
2.繰り返し処理(For Next)|VBA入門
3.変数宣言のDimとデータ型|VBA入門
4.セルのコピー&値の貼り付け(PasteSpecial)|VBA入門
5.ひらがな⇔カタカナの変換|エクセル基本操作
6.RangeとCellsの使い方|VBA入門
7.メッセージボックス(MsgBox関数)|VBA入門
8.セルのクリア(Clear,ClearContents)|VBA入門
9.FILTER関数(範囲をフィルター処理)|エクセル入門
10.条件分岐(Select Case)|VBA入門




このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。


記述には細心の注意をしたつもりですが、
間違いやご指摘がありましたら、「お問い合わせ」からお知らせいただけると幸いです。
掲載のVBAコードは動作を保証するものではなく、あくまでVBA学習のサンプルとして掲載しています。
掲載のVBAコードは自己責任でご使用ください。万一データ破損等の損害が発生しても責任は負いません。



このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。
本文下部へ