第12回.エクセルの言葉を理解する(オブジェクト、プロパティ、メソッド)
ExcelマクロVBAを書いて実行すると、
何やら難しい日本語らしきメッセージが表示されることがあります。
何を言っているのかを理解してあげなければエクセルがかわいそうです。
かわいそうと言うのはともかくとして、、、
エクセルが表示するエラーメッセージの言葉の意味くらいは知っておきたいところです。
VBAが表示するメッセージ


メッセージの、
「オブジェクトは、このプロパティまたはメソッドをサポートしていません。」
プロパティ ???
メソッド ???
オブジェクト、プロパティ、メソッド
これらの意味くらいは覚えておかないと、エクセルが何を言っているのか全く理解出来ません。
valeuこれが間違いで、正しくはValueとなります。
オブジェクトは、このプロパティまたはメソッドをサポートしていません。
とは、
Range("A1")は、この valeu をサポートしていません。
という意味になります。
では、順にオブジェクト、プロパティ、メソッドについて説明します。
オブジェクト、プロパティ、メソッド
オブジェクトとは
VBAで何か操作をしようとする対象となるものがオブシェクトです。
ブックやシート、そしてセルなどを指します。
セル(RangeやCells)はRangeオブジェクトと言います。
プロパティとは
オブジェクトの持つ財産・資産のことであり、オブジェクトの性質を表すデータです。
セルの持つ値や書式は全て、セルのプロパティです。
プロパティは、値の取得と、値の設定、この二つの機能があります。
メソッドとは
オブジェクトに対する動作・操作を指定します。
セルを選択する、セルを削除する等です。
メソッドには、値を取得する機能もあります。
プロパティとメソッドの違い
このような記述なら、
○○○はオブジェクト、□□□はプロパティまたはメソッドです。
Range("A1").valeu = "おはよう"
これに対し、
「オブジェクトは、このプロパティまたはメソッドをサポートしていません。」
これはつまり、
Range("A1")はオブジェクト、valeuはプロパティまたはメソッドだとエクセルは認識しているという事です。
VBAとしては、プロパティかメソッドの区別がついていないという事です。
プロパティとメソッドの違いはあまりなく、主に記述方法の違いになります。
○○○.□□□ = 値
この場合の□□□はプロパティです。
なので、=で値を入れていればそれはプロパティという事です。
この□□□は、プロパティの場合もあるし、メソッドの場合もあります。
これを見た目で区別することはできません。
オブジェクトの階層(親子構造)
このような記述なら、
○○○.△△△はオブジェクト、
□□□はプロパティまたはメソッドです。
親オブジェクト.子オブジェクト.プロパティまたはメソッド
という事になります。
ボールペンというオブジェクトには、キャップと言う子供のオブジェクトが含まれます。
ボールペンの色が何色かと考えたとき、
ボールペンのどこの色・・・と言う事の指定が必要です。
ボールペンのキャップの色
これをVBA風に書けば、
ボールペン.キャップ.色
ボールペン.キャップがオブジェクトで、色がプロパティになります。
プロパティの省略
Cells(1, 1) = "おはよう"
どれがオブジェクト?どれがプロパティ?
すると、
オブジェクト = 値
という事になってしまいます。
といいますか、オブジェクトの何に値を入れるのか・・・
上のボールペンの例なら、
ボールペン = 赤
これでは、ボールペンのどの部分を赤にするのか・・・
ボールペン.キャップ.色 = 赤
ボールペン.インク.色 = 赤
ここまで書いて初めて他人(つまりはエクセル)に理解してもらえます。
Range("A1") = "おはよう"
Cells(1, 1) = "おはよう"
これはどういう事でしょうか。
Range("A1").Value = "おはよう"
Cells(1, 1).Value = "おはよう"
これらの省略形だったのです。
Valueは価値や値打ちの意味の英単語ですが、ここでは値と訳しましょう。
.Value
が省略されていることになります、そういう決まりになっていると理解してください。
エクセルの言葉であるVBAを日本語に翻訳する
これは、
○○○の△△△の□□□
または、
○○○の△△△を□□□する
と訳します。
.(ピリオド)は「の」か「を」と訳します。
少なくとも、途中の.(ピリオド)は「の」と訳します。
最後の.(ピリオド)が、
プロパティなら「の」、メソッドなら「を」と訳してください。
○○○.△△△.□□□ = ☆☆☆
→ ○○○の△△△の□□□に☆☆☆を入れる
○○○.△△△.□□□
→ ○○○の△△△を□□□する
最終行取得のコードを訳してみる
これは、
Rowsオブジェクト.Countプロパティ
Rowsオブジェクトとは、シートの行を表すオブジェクトで、その件数(Count)です。
つまり、シートの行数を取得しています。
これは、そのセルから指定方向にCtrl+方向キーで移動した終端セルのRangeオブジェクトになります。
上記を理解して、訳してみると、
セル(シートの行数, 1).上方向の終端セル
ここまでがオブジェクトで、シートの最終行のセルから上方向の終端セルのオブジェクト
そして、そのセルの行(セルの行位置)を表すプロパティがRowという事です。
VBA用語を覚えることについて
これらの言葉を知らなくても、マクロVBAは書けます。
これらの言葉の詳細、深い理解は、通常は必要ありません。
これらの言葉が理解しきれていなくてもVBAを書くことはできますし、とりたてて不自由はないでしょう。
とはいえ、最低限の理解はしておいた方が良いです。
こういう事を言っているのか…くらいが理解できれば十分です。
マクロVBAを書くことを続けていれば、少しずつ自然と覚えていくはずのものです。
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