AI時代におけるRPAとVBAの位置づけ - 補完技術としての役割と未来 -
はじめに
1. 業務自動化を構成する3つのレイヤーとツールの位置づけ
- 操作自動化レイヤー:
PC上のアプリケーション操作、ファイル操作、データ入力・抽出、整形といった、比較的定型的で反復性の高い操作を自動化する領域です。
- 主要ツール: VBA, RPA
- VBAは主にMicrosoft Office製品内の操作自動化に特化しています。RPAはOffice製品だけでなく、Webブラウザやその他の多様なアプリケーション間の操作自動化に広く対応し、UIを認識して操作することで自動化を実現します。
- プロセス自動化レイヤー:
複数のアプリケーションやシステムを跨いだ一連の業務フロー全体を自動化する領域です。ある操作の結果を受けて次の操作を開始するなど、業務プロセス全体の整合性や流れを制御します。
- 主要ツール: RPA, BPM(Business Process Management)ツール
- RPAは個別の操作の自動化を組み合わせることでプロセスの自動化を実現します。BPMツールは、より複雑で承認フローなどを含む業務プロセス全体の設計、実行、監視、改善を目的とし、組織全体のビジネスプロセス最適化を目指します。
- 判断自動化レイヤー:
構造化されていない情報(自然言語の文書、画像、音声など)の解釈、データからの傾向分析、予測、状況に応じた最適な意思決定といった、人間が行ってきた高度な判断を自動化する領域です。
- 主要ツール: 生成AI, 機械学習(ML)モデル, AI-OCRなど
- このレイヤーは、AI技術の最も得意とする領域であり、近年急速に進化しています。AIは、データに基づく学習や推論により、非定型的な情報からの意味抽出や複雑なパターンの認識を可能にします。
2. なぜAI時代でもRPAやVBAは現場で使われ続けるのか?
(1) 既存(レガシー)システムの限界と対応の難しさ
(2) 現場主導での迅速かつ柔軟な業務改善ニーズ
(3) 「判断」だけでなく「実行」が必要な業務(AIとの連携)
(4) コスト、導入の容易さ、適用範囲の明確さ
(5) データの品質とセキュリティに関する考慮事項
3. 共通の本質:補完と継ぎ足しの歴史、そして技術融合
補完と継ぎ足しの歴史的文脈
技術融合の動向:Low-Code/No-Codeプラットフォームの台頭
4. 今後の展望:業務再設計とツール連携の深化
業務再設計の重要性
具体的には、以下のようなステップが考えられます。
- 業務の可視化と分析: 業務フロー、担当者、使用ツール、発生するデータなどを詳細に把握する。
- 課題特定とムダの排除: 非効率な手作業、重複作業、不要な承認プロセスなどを特定し、排除または削減を検討する。
- 標準化とシンプル化: 業務プロセスを標準化し、例外処理を減らすことで、自動化ツールの適用を容易にする。
- データとプロセスの連携設計: システムや部門間で分断されているデータやプロセスをどのように連携させるか設計する。
実装パターンとベストプラクティス
- ハイブリッド自動化モデル:
- AI + RPA:AIが非構造化データ(契約書、請求書など)から情報を抽出・分類・判断し、RPAがその結果を既存の基幹システムやExcelに入力する。
- AI + VBA:AIがデータ分析に基づく最適な推奨値(例:在庫発注量)を算出し、VBAがExcel上でその値を基にレポーティングや簡易的な発注指示書作成を自動化する。
- RPA + VBA:RPAがWebサイトや複数のシステムから必要なデータを収集し、VBAがExcel内で収集データを高度に加工・集計・分析し、レポートを生成する。
- 段階的高度化アプローチ:
- 第1段階(効率化): シンプルな定型業務(例:定型レポート作成、データ形式変換)をVBAや簡易的なRPAで自動化し、早期に効果を出す。
- 第2段階(連携): 複数システムにまたがる業務フロー(例:Web情報取得とシステム入力の連携)をRPAやLow-Codeプラットフォームで自動化・効率化する。
- 第3段階(判断支援): AIを組み込み、収集データからの異常検知、需要予測、顧客行動分析などを行い、人間の判断を支援する。
- 第4段階(自律化): AI、RPA、VBA、BPMなどを統合し、予測に基づく発注業務や問い合わせへの一次回答など、より複雑な業務プロセス全体をエンドツーエンドで自動化・自律化する。
- ガバナンスとCoE(Center of Excellence)の確立:
組織全体での自動化推進を成功させるためには、単なるツールの導入に留まらず、適切なガバナンス体制の構築が不可欠です。自動化資産(作成されたRPAロボットやVBAコードなど)の一元管理、標準化された開発ガイドラインの策定、各ツールの適用基準と選定プロセスの明確化、部門横断的な知識共有とベストプラクティスの展開、セキュリティと監査対応の統一基準設定などを推進するCoEの役割が重要となります。
技術の進化と将来の展望
- AI強化型RPA(Intelligent RPA): AI技術(特に機械学習や自然言語処理)をRPAに深く組み込むことで、非構造化データの認識、例外処理の自動判断、実行データからの自己学習によるプロセス最適化など、より高度で柔軟な自動化が可能になります。ユーザーの操作を観察して自動的にRPAシナリオを生成する機能なども実用化が進むと考えられます。
- ハイパーオートメーション: AI、ML、RPA、BPM、Low-Codeツール、プロセスマイニング、タスクマイニングなどを組み合わせ、業務プロセスの「発見・分析・設計・自動化・測定・監視・再評価」というサイクル全体をエンドツーエンドで最適化・自動化する概念がさらに普及します。単一タスクの自動化から、組織全体の業務プロセス変革へと焦点が移ります。
- 次世代Low-Code/No-Codeプラットフォーム: AIによるコード生成(例:GitHub Copilotのような機能のLCNCプラットフォームへの統合)や、自然言語での指示から自動的に実行可能なアプリケーションやワークフローを構築する機能などが進化し、VBAやRPAの専門知識がなくても、より複雑かつインテリジェントな自動化ソリューションが容易に開発可能になります。
- デジタルワーカー/インテリジェントエージェント: 特定のタスクを自動化するだけでなく、人間の同僚のように特定の役割(例:「経理アシスタント」「営業サポート」)を担い、自律的に複数のツール(AI、RPA、各種システム)を使い分けて業務を遂行する「デジタルワーカー」や「インテリジェントエージェント」といった概念が普及し、より高度なレベルでの人間とデジタルの協働が実現します。
おわりに
※この記事の作成には生成AI(ChatGPTとGemini)を使用しています。
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